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  • 2010年6月17日

リアリスト、岡田武史

 進退伺いまで出していた監督への批判が、一夜にして手の平を返したようにほとんど収まってしまったことにも驚くが、同時にW杯での一勝がどれほどの価値を持つものか表してもいるのだろう。
 勝利したカメルーン戦を振り返ると、相手の不出来に助けられた部分は大いにある。ただ、日本代表の選手が懸命に体を投げ出していたこともまた確かであるように、様々な要素が重なり合った結果として得た勝利だが、中でも岡田監督の方向転換を一因として挙げることができる。
就任当初に掲げたロマンよりも、勝つためのリアルを選んだカメルーン戦での守備的な試合運びには賛否両論あるだろうが、とりあえず勝ったことで3戦目まで望みが繋がった。開幕前の絶望的な状況とはコロッと異なり、大きく道が開けたことで初戦に勝ったチームの決勝トーナメントに進む可能性が、テレビや新聞では盛んに論じられている。
 おそらく現地から報じられているスタメンやフォーメーションの変更に関係なく、オランダ戦も基本的に守備に重きを置いた戦い方をするだろう。もちろん監督であるからには、できるならば勝ちたいだろうがトーナメントに進むことを考えたら、引き分けは悪くない結果と言える。
 またカメルーン戦の勝利の要因には、監督の方向転換のほかに先制点を挙げたこともある。実際、監督自身「先制点を取って、追加点を取れるのが理想」と試合前に答えている。また「勝つとしたら1‐0か2‐1」とロースコアの試合運びをしたいとも言っていた。開幕前の親善試合で全く点を取れなかったことを踏まえれば当たり前であり、大量点が望めない以上オランダ戦も考え方は似たようなものになるだろう。
 しかしカメルーン戦は先制点を挙げられたから、守備的な試合運びもうまくいった。ならばオランダ戦で先制点を取られたとき、岡田監督はどのように動くだろうか。
 「前半終わって0‐0、0‐1なら問題ない」と話していたカメルーン戦ならば、初戦でもあり負けるわけにはいかないので、攻めに出ただろう。
 2試合目であるオランダ戦はどうだろうか。
 初戦に勝利を挙げたことで、負けても3戦目に全てを懸けることはできる。オランダ相手に勝ち点を取れたら大きいが、先制点を取られ攻めに出ることで、逆に大量失点を食らう可能性は十分にある。
 何より3戦トータルで考えた場合、得失点差もトーナメントに進む上では大きなウェートを占めている。デンマークはオランダに2点差で敗れているから、日本が1点差負けならやむなしと考えても不思議ではない。先制されても、守りに守って3戦目のデンマーク相手に勝負という考え方もありうる。また加えてオランダ戦はカメルーン対デンマーク戦の前に行われる。先制点を奪われれば自分達の試合後に行われる以上、カメルーン対デンマーク戦のスコアに関係なく岡田監督は攻めに出るか、守りに入るかの判断を迫られる。
 危険を含みながら逆転を狙い攻撃するか、負けていてもなお守るか。
岡田監督はとにかく勝ちにこだわったカメルーン戦以上のリアリズムを見せるのだろうか。
オランダに先制されたとき、明らかになる。

(小谷紘友=文)

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