[スポーツライター] 金子 達仁
【スポーツニッポン】W杯のためのJリーグで良いのか?
Jリーグはなんのために存在するのか。改めて考えさせられている。
プロ野球はなんのために存在するのか。そう聞かれて「WBCのため」あるいは「五輪で金メダルを獲得するため」と答える方は相当の少数派だろう。阪神ファンにとっては、阪神の勝利こそが最大の喜びであり、それは代表チームが勝とうが負けようが損なわれるものではない。
これは、欧州サッカーの常識でもある。
08年、イングランド代表は欧州選手権への出場を逃した。では、そのことによってプレミア・リーグのファンは減ったか。そんなことはない。代表チームがオーストリアにたどりつけなくても、マンチェスター・Uファンの情熱は冷めなかったし、メディアの注目も下がらなかった。おそらく、すべてのクラブについて同じことは言えるだろう。
だが、今年のJリーグの場合、メディアのほとんどは「W杯イヤーの」という枕詞(まくらことば)をつけて開幕を伝えていた。まるで、W杯のためのJリーグが始まったかのように、である。
しかも、今年のJリーグはW杯の開催にあわせて、長い中断期間が入る。W杯のために、リーグをやめるのである。これでは、メディアのみならず、普段はあまりサッカーに興味のないファンが「今年のJリーグはW杯のため」というイメージを持ってしまうのも当然ではないか。
9月にシーズン開幕を迎える欧州の選手たちは、6月のW杯を満身創痍(い)の状態で迎える。日本代表のことだけを考えるならば、3月に開幕するカレンダーも悪いことばかりではない。
だが、主眼をJリーグにおいてみると、現行のスケジュールはJリーグを代表チームの下部組織のように印象づけてしまうばかりではなく、W杯における負の成績をモロにかぶってしまうことになる。W杯後に新たなシーズンが始まるのであれば、ファンも気分を入れ替えることができるが、再開となるとそうはいかない。
もし、代表チームをつかさどる日本サッカー協会が現行の日程を望んでいるというのならば、まだ話はわかる。W杯で勝つためには、その方が可能性が高いという考え方は理解できるからだ。だが、実際はJリーグの方が、現行の日程にしがみついている。
Jリーグは日本代表のためであり、日本代表はコンスタントにW杯で上位に進出できる――それならば、3月開幕にこだわる理由もわかるのだが。
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[スポーツライター] 金子 達仁- Tatsuhito Kaneko
- 1966年1月26日、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部を卒業後、日本スポーツ企画出版社に入社。『スマッシュ』『サッカーダイジェスト』編集部勤務を経て、95年にフリーとなる。著書に「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」「敗因と」「泣き虫」などがある。
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