[スポーツライター] 金子 達仁
【スポーツニッポン】02年は選手にまだ“熱”があった
おそらく、口にしたご本人が一番よくわかっているはずである。
苦しい言い訳であることは。
W杯まであと4カ月しかない。時間がない。よって監督を交代させるリスクの方が大きい?なるほど、ならば世界中のあちこちで、翌週に試合を控えたクラブチームの監督が更迭されているのはなぜなのだろう。人心を一新させるメリットは、時に継続性を断ち切るリスクを上回る効果を発揮することがある。そして、世界のサッカーをよく知る協会のトップたちは、そのことをよくわかっているはずである。まず岡田監督の続投ありき。リスクうんぬんは、あくまでも後付けの理由にすぎない。
ともあれ、監督が代わらないことはひとまず決定した。だが、何かが変わらない限り、W杯で無残な結果に終わることは目に見えている。
特に、選手が変わらなくては。
観客にとっては素晴らしくエキサイティングな試合を、選手が「ミスの多い試合だな」と感じていることは珍しくない。フィールドの中と外では、試合の見え方が違う。ただ、2月の4試合は、観客がイライラしていたように、選手もまたストレスを感じていたはずである。
ところが、お粗末な試合をしていながら、フィールドで怒りを露(あら)わにする選手の何と少なかったことか。わたしが岡崎だったら中盤の選手にブチ切れている。なぜおれのほしいところに出さない?遠藤だったら、FWの選手に激怒している。少しは考えて動け。ただ走ってるだけじゃこっちはパスを出せない。韓国戦ならば、闘莉王につかみかかったかもしれない。バカなことをするのもいい加減にしろ。10人で闘う仲間のことも考えろ!
だが、わたしの見る限り、憤慨している選手はいなかった。怒って、衝突して、現状を改善していこうとする選手はほとんど見当たらなかった。
敗北は、無残な試合内容は、監督の責任であると同時に選手の責任でもある。現時点で、岡田監督はすべての責任を自分でかぶっている。選手個々への批判は一切ない。そのことに胸を熱くする選手はいないのだろうか。それとも、彼らにとっての岡田監督はその程度の存在なのか。
02年の日本代表は、トルシエに対する反発心でまとまったチームだった。反発という熱があったチームだった。いまの日本代表に、熱はあるのか。あるのならば、その熱はどんな方向を向いているのか。
稲本、あの時のチームを知る君ならどう思う?
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[スポーツライター] 金子 達仁- Tatsuhito Kaneko
- 1966年1月26日、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部を卒業後、日本スポーツ企画出版社に入社。『スマッシュ』『サッカーダイジェスト』編集部勤務を経て、95年にフリーとなる。著書に「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」「敗因と」「泣き虫」などがある。
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