[スポーツライター] 金子 達仁

  • 2010年8月19日

【スポーツニッポン】秋春制問題“先送り”それでいいのか

 京都の加藤久監督が解任された。

 最後の試合となったアウェーでの川崎F戦は、後半途中まではがっぷり四つに組んでやりあい、押し込まれ始めるとスッパリと守備重視に切り替えるという実にしたたかなサッカーを見せていたが、試合終了直前、ジュニーニョの1発で積み重ねてきたロジックをすべて破壊されてしまった。個人的には、W杯前の日本代表よりもはるかに可能性を感じる内容だっただけに、もう少し継続してもいいのではないかと思ったが、10戦勝ちなしともなれば、更迭に踏み切ったフロントの判断も理解できる。

 負ければ、変わらなければならない。勝てるようになるために、新たな策を講じなければならない。

 南アフリカで、日本は勝った。勝てる可能性が極めて低かったところで、信じられないほどのツキに恵まれた。負けていれば、惨敗していれば嫌でも手をつけなければならなかった部分、特に日程の問題は、そのまま放置しても構わないということになったらしい。

 それで、いいのだろうか。

 Jリーグの側が、10年以上もやってきた現行のスケジュールに固執するのはわかる。カレンダーが変われば、観客動員の読みも、営業のかけ方もすべてが変わってくる。リスクを負うのはあくまでも彼らであり、リスクを負わない日本サッカー協会から一方的にカレンダーの変更を押しつけられれば、反発もしたくなるだろう。

 以前、カレンダーの変更に必ずしも反対ではないクラブの関係者から聞いたことがある。

 「反対するクラブは、いかにスケジュールを変更することによるデメリットが大きいか、徹底的に理論武装している。それに比べると、協会サイドの意見はぬるいというか、切実さがまるでない」

 秋春制への移行に反対する人であっても、酷暑の中でサッカーをする危険性はよくわかっているはずである。興行である以上、面白い試合の提供はプロが果たすべき最初の義務なのだが、暑さほどにサッカーから興を削(そ)ぐ要素もない。熱中症による犠牲者が出る可能性もある。次回のW杯で惨敗するようなことがあれば、再開後のリーグは壊滅的な打撃を被る。

 それでもなお、Jリーグ側が犬飼前会長と激しく対立したのは、いってみれば死活問題と理想論の衝突だった。理想論が間違っていたわけではない。死活問題を訴える側を納得させるだけの条件提示が、足りなかったのである。衝突の回避は、単なる問題の先送りでしかない。

[スポーツライター] 金子 達仁



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