[スポーツライター] 金子 達仁

  • 2010年6月28日

【スポーツニッポン】本田に同感“日本はまだまだ途上国”

 少し謙虚になってみよう。

 イタリアの1次リーグ敗退には、それもグループリーグ最下位での敗退には、世界中が腰を抜かしたはずだ。では、前回覇者はニュージーランドよりも下手くそなチームだったのか。スロバキアよりも、パラグアイよりも個々の能力で劣るチームだったのか。

 そうだ、と自暴自棄で答えるイタリア人は多いだろうが、そんなはずはないと見る第三者はもっと多いに違いない。これからはセリエAではなくニュージーランド・リーグを見る、などと考える人が、世界中にどれだけいるだろうか。

 日本は勝った。しかし、それは日本のサッカーがデンマークよりも、全敗でグループ最下位に終わったカメルーンよりも優れていたからというわけではない。残念ながら、まだ、ない。

 「嬉しいけれど、何か喜べない。目標ははるか先にある」

 試合後、本田はそう言ったという。勝ったこと、決勝トーナメントに進出できたことは嬉しい。けれど、日本がデンマークよりも明らかに優れていたから勝てたわけではない。ゆえに、何か喜べないものがある。彼の心情を代弁すれば、そんなところだろうか。

 わたしは、自分が死ぬまでにW杯で優勝する日本が見たいし、それは可能なことだとも思っている。本田は違う。中田英寿がそうだったように、どうやら、彼は自分が現役のうちに世界の頂点に立つことを考えている。だから、喜べない。現状を考えれば会心ではあったけれど、内容で圧倒したわけではない勝利を喜べない。

 なんと頼もしいメンタリティーであることか。

 日本は、E組で2番目にいいチーム、というわけではなかった。ただし、E組はおろか、他のグループすべてを見渡してみても、かくも短期間に、かくも大きな成長を遂げた国はなかった。カメルーン戦でまるでできなかったこと、やろうとさえしなかったことを、デンマーク戦での日本選手たちはやろうとし、時にやってのけた。その象徴が、相手を完全に崩しきって奪った岡崎の3点目だった。

 なぜ日本はこんなにも変われたのか。大会前の準備がひどすぎたから、だとわたしは思う。まるで自信のない状態で大会に臨んだがゆえに、決して喜べる内容ではなかったカメルーン戦の勝利でも、選手たちは自信をつかむことができた。

 嬉しいけれど、何か喜べない。わたしも、まったくもって同感である。

[スポーツライター] 金子 達仁



コメントなし

コメントを投稿


書籍紹介

負けない自分になるための32のリーダーの習慣
澤 穂希 /幻冬舎
目標は「言葉」にすれば、必ず実現する。ブレずに強い心で戦い続けるための習慣。成功を引き寄せる、「有言実行」のメンタル術。

僕は自分が見たことしか信じない
内田 篤人/幻冬舎
彼はその端正な外見だけではない。男らしい一面をもっている。誰よりも優しい心を持っている。そして、だれよりもサッカーに対して真摯だ。

不器用なもんで。
金子 達仁 /扶桑社
『渡り鳥シリーズ』、『仁義なき戦い』など映画に出演し、『昔の名前で出ています』、『熱き心に』といった数々のヒット曲を生んできた小林旭。金子達仁が鮮やかに描き出す一冊。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也/東洋経済新報社
ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。 では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?今日からできる「プロの観戦術」を初公開!

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー
オスカル・P・カノ・モレノ /カンゼン
 “美学”と“効率”が両立されている バルセロナのサッカーの本質に迫る一冊

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部誠/幻冬舎
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、 常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』

タイアップ

オーダーメイドシリコンリストバンド BANDIA
スポーツビジネスオンライン
soccerking