[スポーツライター] 金子 達仁

  • 2010年6月13日

【スポーツニッポン】日本の参考になる“悪夢続くフランス”

 ウルグアイの相手がフランスでよかった。いま世界一ペナルティーエリア内でのハンドに文句を言えない国でよかった。主審と国籍を同じくする者として、つくづくそう思う。西村氏の笛は十分合格点に達するものだったが、PKに直結するプレーはいつも論争の的となる。フランス以外の国であれば、主審に対する大バッシングが起きている可能性もある。西村氏には今大会でのツキがあるのかもしれない。

 ただ、日本代表のことを思うと、いささか複雑な気持ちにさせられた試合でもあった。

 準備試合は、しょせん準備のための試合でしかない。そこでどれだけまずい試合をしようが、本番で結果を出せば周囲も選手たちもすぐに忘れることができる。

 フランスは、直前のテストマッチで中国に敗れていた。相当にお寒い内容で敗れていた。

 そして、ウルグアイに引き分けてしまった。10人になった相手を攻めきれなかった。というより、相手が10人になるまで、フランスの選手たちは中国戦の悪夢にドップリと漬かっているようでさえあった。

 結果、勝てば忘れることのできた悪夢を、彼らは次の試合まで引きずることになった。

 もちろん、ウルグアイがフランスに持ち味を出させなかったという面は間違いなくある。フォルラン、スアレスの2トップは、虎視眈々( こ し たんたん)とフランスDF陣の背後を狙っていた。中盤、最終ラインの選手は、組み立てを度外視して前線の2人にボールを合わせようとした。あれほどまでに縦への意欲をチラつかされてしまっては、どんなチームも無警戒ではいられない。2列目からの飛び出しがいかに有効かを知りつつ、それでもフランスの選手たちは攻撃に人数をかけきれなかった。

 それでも、この日のフランスが自信満々のフランスであれば、テストマッチでゴールを量産してきたフランスであれば、肉を切らせて骨を断とうとする選手がでてきたかもしれない。中国相手に1点も取れなかったという悪夢がなければ、人数でウルグアイを圧殺していたかもしれない。

 準備試合など本番とは何の関係もない。そう言い切るためには、早い時間帯でのゴールが必要だということがよくわかった。フランスが教えてくれた。

 17日、フランスはメキシコと第2戦を戦う。日本より早く第2戦を戦う。準備段階で失敗したチームが、悪夢を払拭(ふっしょく)できないままに迎える2試合目は、カメルーン戦を終えている日本にとっても大いに参考になるはずだ。

[スポーツライター] 金子 達仁



コメントなし

コメントを投稿


書籍紹介

負けない自分になるための32のリーダーの習慣
澤 穂希 /幻冬舎
目標は「言葉」にすれば、必ず実現する。ブレずに強い心で戦い続けるための習慣。成功を引き寄せる、「有言実行」のメンタル術。

僕は自分が見たことしか信じない
内田 篤人/幻冬舎
彼はその端正な外見だけではない。男らしい一面をもっている。誰よりも優しい心を持っている。そして、だれよりもサッカーに対して真摯だ。

不器用なもんで。
金子 達仁 /扶桑社
『渡り鳥シリーズ』、『仁義なき戦い』など映画に出演し、『昔の名前で出ています』、『熱き心に』といった数々のヒット曲を生んできた小林旭。金子達仁が鮮やかに描き出す一冊。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也/東洋経済新報社
ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。 では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?今日からできる「プロの観戦術」を初公開!

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー
オスカル・P・カノ・モレノ /カンゼン
 “美学”と“効率”が両立されている バルセロナのサッカーの本質に迫る一冊

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部誠/幻冬舎
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、 常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』

タイアップ

オーダーメイドシリコンリストバンド BANDIA
スポーツビジネスオンライン
soccerking