[スポーツライター] 金子 達仁
【スポーツニッポン】日本の参考になる“悪夢続くフランス”
ウルグアイの相手がフランスでよかった。いま世界一ペナルティーエリア内でのハンドに文句を言えない国でよかった。主審と国籍を同じくする者として、つくづくそう思う。西村氏の笛は十分合格点に達するものだったが、PKに直結するプレーはいつも論争の的となる。フランス以外の国であれば、主審に対する大バッシングが起きている可能性もある。西村氏には今大会でのツキがあるのかもしれない。
ただ、日本代表のことを思うと、いささか複雑な気持ちにさせられた試合でもあった。
準備試合は、しょせん準備のための試合でしかない。そこでどれだけまずい試合をしようが、本番で結果を出せば周囲も選手たちもすぐに忘れることができる。
フランスは、直前のテストマッチで中国に敗れていた。相当にお寒い内容で敗れていた。
そして、ウルグアイに引き分けてしまった。10人になった相手を攻めきれなかった。というより、相手が10人になるまで、フランスの選手たちは中国戦の悪夢にドップリと漬かっているようでさえあった。
結果、勝てば忘れることのできた悪夢を、彼らは次の試合まで引きずることになった。
もちろん、ウルグアイがフランスに持ち味を出させなかったという面は間違いなくある。フォルラン、スアレスの2トップは、虎視眈々( こ し たんたん)とフランスDF陣の背後を狙っていた。中盤、最終ラインの選手は、組み立てを度外視して前線の2人にボールを合わせようとした。あれほどまでに縦への意欲をチラつかされてしまっては、どんなチームも無警戒ではいられない。2列目からの飛び出しがいかに有効かを知りつつ、それでもフランスの選手たちは攻撃に人数をかけきれなかった。
それでも、この日のフランスが自信満々のフランスであれば、テストマッチでゴールを量産してきたフランスであれば、肉を切らせて骨を断とうとする選手がでてきたかもしれない。中国相手に1点も取れなかったという悪夢がなければ、人数でウルグアイを圧殺していたかもしれない。
準備試合など本番とは何の関係もない。そう言い切るためには、早い時間帯でのゴールが必要だということがよくわかった。フランスが教えてくれた。
17日、フランスはメキシコと第2戦を戦う。日本より早く第2戦を戦う。準備段階で失敗したチームが、悪夢を払拭(ふっしょく)できないままに迎える2試合目は、カメルーン戦を終えている日本にとっても大いに参考になるはずだ。
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[スポーツライター] 金子 達仁- Tatsuhito Kaneko
- 1966年1月26日、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部を卒業後、日本スポーツ企画出版社に入社。『スマッシュ』『サッカーダイジェスト』編集部勤務を経て、95年にフリーとなる。著書に「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」「敗因と」「泣き虫」などがある。
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