[スポーツライター] 金子 達仁
【スポーツニッポン】責任押しつけ岡田監督の小ささ見えた
【W杯国内壮行試合 日本0―2韓国】超人的な気力を発揮して、よかったところを探してみる。必死になって探してみる。
……。
ダメだ。見つけられない。たぶん、わたしの気力と能力が不足しているのだろう。目標はW杯のベスト4。大会直前の壮行試合。英国のブックメーカーによると1次リーグ4位がほぼ確実と見られているチームが相手。
そこに0―2。それもホームで0―2。不運だったわけでも、とりわけ調子が悪かったわけでもない。いつものように、そう、東アジア選手権やセルビア“選抜”とやったように戦い、いつものように負けただけ。
揚げ句、監督は逃げた。観客の前に立ち、南アフリカへ向けての抱負を語るべき場から、逃げた。試合に出てもいない川口にマイクを押しつけ、自らは姿を現さなかった。監督自身がそう望んだのか、それとも協会のスタッフが気をきかせたのかは知らない。逃げたとしか思えない。協会は単なる連絡の行き違いと言っていたが、後付けの言い訳としか思えない。とにかく、雨の中会場に足を運んでくれたファンは、岡田監督の決意を聞くことなくスタジアムを後にすることになった。
監督は、戦術家であると同時にリーダーでもある。戦術家としてはかなり大きな疑問符のつくアルゼンチンのマラドーナ監督だが、選手を守る彼の姿勢を疑うファン、ジャーナリストはいない。ゆえに、メディアからの低評価とは裏腹に、選手たちの口からは「監督を王者にしたい」という言葉が出てくる。
いま、日本代表の選手たちは岡田監督を信頼しているだろうか。監督に対するメディアやファンからのバッシングに反発し、俺(おれ)たちが評価を覆してやると憤っているだろうか。岡田監督を男にする、と意気込んでいるだろうか。
わたしなら、憤れない。意気込めない。誰だってこんな試合のあとはファンの前になんか出たくない。それが痛いほどにわかるだけに、出てこなかった岡田監督の小ささが見えてしまう。せめて選手たち全員を引き揚げさせ、誰も何もしゃべらなかったというのであれば納得もいくが、同じように出たくなかったであろう1人の選手に責任を押しつけてしまったのだから話にならない。
もう、無理だ。
高まる一方だった岡田監督に対する不満の声は、選手たちを結束させるかもしれない可能性をも秘めていた。だが、今日を境により激しく燃え盛るであろうファンの怒りが、何らかのプラスをチームにもたらすとは思えない。
つまり、きょうの負けにはなんの意味もなかった。そうしてしまったのは、岡田監督だった。
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[スポーツライター] 金子 達仁- Tatsuhito Kaneko
- 1966年1月26日、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部を卒業後、日本スポーツ企画出版社に入社。『スマッシュ』『サッカーダイジェスト』編集部勤務を経て、95年にフリーとなる。著書に「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」「敗因と」「泣き虫」などがある。
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