スポーツ感動体験
青空、ママチャリ、バーベキュー
F1で使われるコースを走ることができる。
ママチャリで走ることができる。
飲み仲間の一人がママチャリレースに参加したことを聞かされた松井さんたち。老若男女のメンバーは次々と参加を表明し、たちまち監督を含む11人のチームが結成された。
順位にこだわるとか、自分との闘いなどという大それた題目ではない。
楽しく走って思い出を作れればいいじゃないか。
大会は1月に行われる。
ただでさえ気温の低い季節に加え、昨年は雨に見舞われたという。
雨に濡れ寒さでかじかむ手でハンドルを握って走るなんて悲惨だし、大会の風物詩であるバーベキューパーティーを堪能することもできない。
天候だけが懸念された。
大会前夜、松井さんたちは都内からママチャリやバーベキューの材料を積んだマイクロバスで、会場である富士スピードウェイに入った。
明けた1月10日、時期的に寒いのは仕方がなかったが、雨を降らす雲もなく、一月とは思えないほどに濃い青空が広がっていた。
スーパーママチャリグランプリの出場チームは5人から10人でチームが結成され、自由に走者を交代させながら、1周4.5kmのコースを7時間耐久で走る。
優勝チームは48周という記録を残しているが、松井さんたちのチームも初出場ながら元気者たちが6周も走るなどして32周を記録し、最年長の松井さんも1周だけ走った。
途中、坂を上るために降りてママチャリを押さざるをなかったけれど、青空の下で走るのは気持ちが良かった。
コースの途中ではカメラマンが写真を撮っている。
カメラマンに付き添っている人に促されるまま、白い富士山と青空を背景に走る松井さんはVサインを作って微笑んだ。
ピットインで次の走者にママチャリを引き継いだら、バーベキュー大会が待っている。
ところが、1周を12分から18分位の間で走っては交代する耐久レースは意外とせわしなく、たっぷりと余裕をもって持ち込んだ食材の大半は、レースが終わってからみんなでのんびりとビールといっしょに消費されていった。
成績も悪くはなかった。
けれど大切なことは、富士までやってきて、みんなで走ったり応援したり食べたりして作った思い出だった。
十分な人数が揃ったら次回大会にも参加するつもりでいる。
もし、またレースで走る時には。
松井さんはカメラマンの前でママチャリを降り、ポーズを作って写真撮影をするつもりでいる。
(小林浩宣=文)
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