[塾生]西本匡吾

  • 2012年1月18日

[JBL]ガンバレ、レバンガ!~新生チームの後半戦に向けて~


 一般社団法人・北海道総合スポーツクラブのチーム名が決まったのはシーズンが開幕する2ヶ月前、2011年8月のことだった。公募した120通の中から選出されたのは、スポーツチーム特有の動物に由来する名称や強さを誇示する英語ではなく、「頑張れ」を逆さから呼んだ日本固有のものであった。
 「レバンガ北海道」
 風変わりなチーム名には、道民から応援されるようなチームであり続けることの誓いが込められているという。

 レバンガ北海道では、チームの顔である折茂武彦が国内のプロスポーツチームでは異例の選手兼理事長という立場を務めている。チームの基盤も一般社団法人と、大企業のお膝元にあるチームが多いJBLでは前例のない形式である。
  
 この原因は、2010-2011シーズン途中にレバンガの前進である「レラカムイ北海道」が大幅な経営赤字に陥ったことにあった。

 2011年1月に行ったJBL側の監査によると累計赤字は4億円以上に上り、選手に対しての給与も遅滞していたという。その結果、JBLは運営会社であったファンタジア社をリーグから除名することを発表する。経営権は一時的に、リーグの興行権を保持するJBO(日本バスケットボールオペレーションズ)が握ることとなった。チーム名もレラカムイ北海道から「北海道バスケットボールクラブ」へと変更し、東日本大震災後にシーズンが中断する3月半ばまで、この状態が続いていた。

 2011-12シーズンは新たな運営会社のもとで開幕を迎える予定であったが、震災の影響もあり契約を締結するまでには至らなかったという。運営会社が決まらなければ当然チームは消滅してしまう。そこで立ち上がったのが前述の折茂である。7月には一般社団法人として再びリーグに参戦することが決まり、法人名は「北海道総合スポーツクラブ」となった。

 けれども、チームの存続自体が危ぶまれていた状況は、コート内に少なくない影響を与えた。
 
 レバンガ北海道はシーズン前の7月9日と10日、それぞれ北海道と東京でチームトライアウトを実施している。山田大治、柏倉秀徳といった主力選手が移籍したこともあり、その時の契約選手はわずかに4人しかいなかった。出場選手登録12人以上と規定があるため、本来のトライアウトの目的とはかけ離れた理由で選手を募らなければならない状態だったに違いない。

 既存の選手たちの練習に関してもおよそトップリーグとはかけ離れた状態だった。今シーズンからキャプテンに就任した阿部友和は、開幕戦でシーズン前の状況について問いた時、こう答えてくれた。

「体育館をとって自主的に練習をしていました。本当にトレーニング。走ったり、基礎的なことをやっていて。長い期間、2人とか3人でやっていました」


 最終的には日本代表に名を連ねる桜井良太、長身のフォワードである野口大介といった選手は残留を決め、昨シーズンのチームから7名の選手が契約を結んだ。他にも帰化申請を果たしたジェフ・磨々同、宍戸治一(元埼玉ブロンコス)、栗野譲(元三菱電機)といった選手が加わった。

 新ヘッドコーチには、2006-07シーズンにはJBL・トヨタ自動車アルバルクでリーグ制覇、2011年に母国ドイツでプロAリーグ(※ブンデスリーガに次ぐ2部リーグ)のコーチ・オブ・ザ・イヤーを獲得したトーステン・ロイブルの就任が決まった。

 とはいえ、前身のレラカムイ北海道は発足以降、全8チーム中8位・8位・7位・8位と順位は低迷しており、それに加えて選手登録人数は下限の12人しかいない。ロイブルは、今シーズンを「コーチのキャリアの中で最大の挑戦」と表現し、開幕後の5試合は準備期間と捉えていたという。地力で劣るチームが、圧倒的に少ない準備期間でシーズンを挑むこととなった。

 だが、初勝利は2試合目だった。

 キャプテンでありポイントガードを務める阿部が左足の小指を骨折して全治約2ヶ月の怪我を負うが、チームは粘りのあるディフェンスを武器に70-72で日立サンロッカーズを相手に「レバンガ北海道」としての初勝利を見事に飾ってみせた。

 12月17日の前半戦を終了した現在、9勝13敗で7位の位置につけている。下から数えて2番目の成績ではあるが、その意味合いは例年とは大きく異なる。プレーオフ圏内に位置する4位のパナソニックトライアンズとの勝ち星差は2勝で、十二分に届きそうな勢いである。

 しかし、ロイブルは「プレーオフ進出」ついて慎重に言葉を選ぶ。

「我々がプレーオフを語ることは絶対にありません。リーグの第5週が終わったときにプレーオフにいけるかもしれないと言った瞬間に、次の東芝戦で連敗をしてしまいました。だから、これについて話すことは絶対にないです。常に一戦一戦がファイナルの試合だと思って取り組んでいきたいと思います。ご存知のように、我々は1位と2位のチームを破っている経験があります。ただし、最下位のチームにも負けているチームです」
 
 過度な期待は禁物というコーチからの目線はあるが、昨年のチームとは異なるのは確かだ。順位こそ7否ものの、ハードなディフェンスからリズムを作り、ここまでの22試合で4敗しかしていない首位のトヨタ自動車にシーズン初黒星をつけ、2位のアイシンとは2勝2敗と5分の成績である。

 情熱的な指揮官と献身的なプレーをみせる選手たちは、チームの雰囲気も変えてみせた。選手だけではなく通訳としてもチームを支える比瑠木謙司は言う。
  
「昨年とは全然違いますね。昨年であれば負けた時に『あー負けてしまったな』と。変な、良くない意味で切り替えてしまっていたんですけど、今年はやはり負けたくない気持ちが滲み出ていますね。うちは頭の良い選手が揃っていると思うんですよ。負けたときは悔しいとは思うんですけど、ちゃんとしたパフォーマンスをしたらトップのチームと渡り合えるというのを理解しているから。そういった意味で変に重くはならないですね」

 また、怪我により開幕2試合目から欠場していた阿部が、天皇杯で復帰を果たし、2試合合計で24分間出場した。1月21日から始まる後半戦に向けて明るい材料である。阿部については、はロイブルも1月4日の試合後にこう話す。

「阿部選手はまだ本来のベストの状態にはもどっていないんですけど、彼がチームのプレー参加できるということは非常に良い材料です。あともう数ゲームをこなせば試合の感覚も戻ってくるでしょうから、その時、本当のチームになると思います」

 その阿部は「外からチームを見え感じたものは?」という問いに対して「波」というフレーズを強調する。それはチームの特徴の表裏を表現している。
 
「その試合、その試合で凄く波があるので。逆に勢いがあったときは凄く強いチームだなというのを感じました。ずっと連勝していたトヨタを打ち負かしたので、そういうことも証明しています。逆にその前の試合では40点差で負けることも証明してしまったので。その波をなくせば、リーグでもっともっと上にいけると思いますね」

 シーズンが始まる前、レバンガ北海道はコートとは離れた部分で苦戦を強いられていた。しかし、準備期間が少なかったということは、まだまだチームは発展途上ということの裏返しでもある。後半戦、レバンガ北海道はどんな戦い方を見せてくれるだろうか。

[塾生]西本匡吾



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