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すばらしき夫婦(めおと)マラソン
子供の手が離れた3年前からジムへ通い始めたOさん。そのときは、まさか自分がマラソンに出るなんて想像もしていなかった。勧めたのは10年来フルマラソンを走っている夫だった。
「自信ないけど、ハーフなら…」
夫婦で出場したハーフマラソン。Oさんは規定時間ギリギリで何とか完走した。しかし、最後の3㎞付近からお腹が痛くなってしまったという。
「ボランティアの人が飲み物や食べ物を差し出すでしょ。断れないんです。夫も呆れ顔でした」
腹痛の原因は明確だった…。
しかし同時に「やれそう」と確信したのも事実だった。だからこそ次に選んだのはフルマラソンだった。
第17回津山加茂郷フルマラソン全国大会。春なのに平均気温より10℃も高かったこの日。初心者のOさんにとっては過酷なレースとなった。
「とにかく暑かったんです。走っているうちに、だんだん目まいがして…」
ついに31㎞地点でリタイア。熱中症だった。
「そのとき夫もいっしょに棄権したんです。元気だったのに悪いなと思いました。でも、正直うれしかった」
その日からリベンジを誓ったOさん。だが年齢のせいもあり、走る量が徐々に減っていった。ふと夫を見ると、黙々とトレーニングを続けている。その姿を見て「やっぱり頑張ろう」と甘い自分を叱咤するのだった。
そして2010年、第18回を向かえた同大会。Oさんは再び夫とスタート地点に立った。今年は涼しい。目標はただ一つ。完走するのみ。
Oさんは走り出す。自分のペースを守って走り続ける。でも、やっぱり止まってしまう場所がある。
「みんなドリンクや食べ物を出してくれるから」
人の良いOさんはどうしてもやり過ごせないという。
「今年はお好み焼きが出ましてね」
がむしゃらも良いけど、楽しむのが自分らしい走り方。夫もいっしょになって食べてくれた。
寄り道のせいで、競技場へ戻ったのは制限時間の6時間ギリギリだった。
「まだ間に合うよ」
周りの声によって、二人は猛然と走った。そして5時間59分06秒でゴールイン。
「しんどかったけど、また走りたい」
今、マラソンによって目標ができ、充実した日々を過ごせているとOさんは語る。
しかしマラソンは別のところに本当の恩恵を与えてくれた。
「夫婦で会話する機会が増えたんですよ。今、すごく仲が良いんです」
二人だけの食卓は決して寂しいものではなく、毎日マラソンの話題で溢れている。
(滝沢康英=文)
タグ: スポーツ感動体験 —
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