W杯関連記事

  • 2010年7月3日

[準々決勝 オランダ×ブラジル]遊び心

 欠点はときとして美点と成り得る。一人の完璧な個人も人を強く惹きつけるが、どこか抜けている人もそれはそれで味わい深く、愛情を誘わずにはいられないものである。
 そしてそれはサッカーのチームにも言えることだ。08-09シーズンのFCバルセロナは前者の代表例だろう。世界中のサッカー・ファンの誰もがあのバルセロナには憧れたはずだ。
 対して今大会のオランダ代表はオフェンスに関してはNo.1なのだが、センター・バックが唯一の泣き所となっている。マタイセンもハイティンハもいいセンター・バックであることは間違いないが、やはりミドル・クラスの域は出ない。攻撃陣のあまりの豪華さに比べると、かなり見劣りする。しかしその攻撃陣と守備陣のアンバランスさこそが今回のオランダ代表の魅力なのだ。
 その点では今大会のブラジル代表は隙がないように見える。ゴール・キーパーのジュリオ・セーザルからセンター・フォワードのルイス・ファビアーノまで選手としてのレベルはもちろんのこと、ドゥンガイズム=規律を徹底的に叩きこまれ、無駄がない。遊び心がない。
特にペナルティエリア付近でロッベンがボールを持った際には、多い時で7~8人が守備に戻り、ロッベンに対峙したが、そのシーンは74年大会でオランダがブラジル相手にやった「ボール狩り」を彷彿させた。74年にやられたことを、今度はブラジルがやり返しているわけだ。
これは確かにブラジルが決勝まで突き進むかな…と思いきや、腐っても鯛、腐ってもブラジル、というべきか、ここで伝統のお家芸である遊び心、ポカが出てしまった。53分、なんということのないハイボールの処理を、ジュリオ・セーザルとフェリペ・メロのミスで失点してしまう。
これで流れは一気にオランダへ傾いた。60分からはオランダが優位に試合を運び始める。68分にはハイスピードコーナーキックからカイトが後ろに反らして最後はスナイデルがヘッドで合わせてゴールを決める。基本的にリアクション型のブラジルはリードされるとキツイ。フェリペ・メロにレッドが出た時点でジ・エンド、サヨウナラ。
変な話で恐縮なのだが、物事において「遊び心」というのはやはり重要なのではないだろうか。強い、弱いは別として、遊び心のあるチームのほうがないチームよりもやはり人を魅了する。「欠点がときとして美点になる」、というのは「遊び心がある」を言い換えたものでもある。ここで言う遊び心は欠点に限ったことではない。規律から解き放たれたプレイヤーもこれにあたる。今大会のチームで言えばブラジルに対するアルゼンチン、とでも言えばいいだろうか。
ドゥンガはもうブラジルにいることはできないだろう。ここはひとつ、またJリーグ、ジュビロ磐田に、監督として戻ってきてはどうだろうか。Jリーグにひとつ大きな彩りを添えることは間違いない。
今回の敗戦で学んだ、遊び心とともに。

(本田千尋=文)

W杯関連記事, [塾生]本田千尋, 投稿記事



コメントなし

コメントを投稿


書籍紹介

負けない自分になるための32のリーダーの習慣
澤 穂希 /幻冬舎
目標は「言葉」にすれば、必ず実現する。ブレずに強い心で戦い続けるための習慣。成功を引き寄せる、「有言実行」のメンタル術。

僕は自分が見たことしか信じない
内田 篤人/幻冬舎
彼はその端正な外見だけではない。男らしい一面をもっている。誰よりも優しい心を持っている。そして、だれよりもサッカーに対して真摯だ。

不器用なもんで。
金子 達仁 /扶桑社
『渡り鳥シリーズ』、『仁義なき戦い』など映画に出演し、『昔の名前で出ています』、『熱き心に』といった数々のヒット曲を生んできた小林旭。金子達仁が鮮やかに描き出す一冊。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也/東洋経済新報社
ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。 では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?今日からできる「プロの観戦術」を初公開!

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー
オスカル・P・カノ・モレノ /カンゼン
 “美学”と“効率”が両立されている バルセロナのサッカーの本質に迫る一冊

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部誠/幻冬舎
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、 常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』

タイアップ

オーダーメイドシリコンリストバンド BANDIA
スポーツビジネスオンライン
soccerking