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vsパラグアイ 悔しさの果ての歓喜のために。

 最大の収穫は、悔しさだ。

 戦う前にチームが崩壊していたドイツの時とは種類が違う。強い結束力をもってパラグアイにぶつかり、それでも敗れ去ったがゆえの悔しさである。
 しかもパラグアイとの間に大きな力の差はなかった。完全に屈したわけではない。だからこそ、もっと周到な準備をしていれば、という思いも浮かぶ。
 松井が、大久保が、駒野が、多くの選手が見せた赤い目に触れると、こみあげてくる悔しさはいっそうの強さをともなった。そうして悔しさは痛みとなり、体の内側を縦横無尽に切り裂いた。

 ベスト8に進めなかった理由は明快だ。パラグアイに勝てなかったからである。つまり、ノックアウト方式の試合でゴールを奪えなかったため、日本はベスト16で姿を消すことになった。
 ゴールが遠い。
 最後まで岡田監督はこの課題をクリアすることができなかった。
 実のところ、パラグアイ戦は岡田監督が採用した堅守システムの真価が問われる試合でもあった。この試合でゴールし、相手を屈することができたなら、新しい日本らしさ、という形容も確固たるものとして認識された。
 しかし結果は敗戦だった。
 確かに点は取られなかった。が、取ることもなかった。そうしてふたつの問いに対する答えが永遠の謎となった。
 その答えとは、ひとつは、守備重視だからこそベスト16に残れたのか、という疑問に対して。もうひとつは、今大会で見せた戦い方が未来の日本代表にとっての礎となるのか、という問いに対してである。
 なぜなら、日本が大会を通じて証明したことは、守備重視でいけばベスト16までには残れる、ということでしかない。堅守システムだからこそベスト16に残れたのだとする必然性は、何ひとつ証明していないのだ。
 代表監督、代表チームの本義は勝利である。
 監督は勝てるチームづくりに全てを捧げ、チームは勝つために全てを賭けて戦う。揺るぎのないこの真理に触れると、今大会の日本チームからは疑問ばかりがあふれてくる。

 未完に終わった「つなぐサッカー」は、誰が監督をやっても理想でしかなかったのか。
 あれほど守備に人数をかけなければ、日本は世界と戦えなかったのか。
 守備重視のシステムを採用するにあたり、ゴールへの道程はどのように描いていたのか。
 選手選考ははたして正しかったのか。

 今回のチームには不確定要素が多すぎた。
 カメルーン戦に敗れていたら、チームは崩壊し、その時点で終戦を迎えていた可能性すら低くはない。日本が躍進した理由は、初戦に勝ったことに尽きるのであって、その意味においては、岡田監督がくだしたシステム変更に関する決断は重要だったといえる。
 ただ、その勇気に免じて、というのは、いささか話しが違う。
 大英断とも違う。
 大英断とは非常に優れた決断という意味だ。これだけの疑問を残して、優れた決断だったとは、言いがたい。

 もう一度いう。 

 本当に「つなぐサッカー」は日本にとって非現実的な戦い方だったのか。
 本当に「堅守第一」こそが日本の現実的な戦い方だったのか。

 ワールドカップは、日本代表は、岡田体制なき後も続いていく。協会は、まずはこれらの疑問に明確な答えを出すべきだ。
 そうしなければ、日本のあるべき戦い方、強化の在り方など見えてくるはずがない。
 今日のこの悔しさを無駄にしてしまっては、4年後の希望も見えてこない。
 きっと悔しさは、世界の頂点に立つその日まで抱き続けることになる。たとえそうだとしても、必要以上に悲しみにうちひしがれる選手はもう見たくない。
 ブラジルでは、悲壮感とは無縁の、堂々たる我がチームを応援したいのである。

(小山内隆=文)

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コメント(3)

一蹴人2010年7月2日 3:17 PM 

同感です。
まさにカメルーン戦の「勝利という結果」が、谷底から駆け上がれた全ての出発点だと思います。
堅守も駆け回る中盤も松井のクロスも出し切れたから、とは思います。
ただーー。
でも、あそこの場所にいて、何事もないかのようにトラップし足下に治めゴールに放り込める本田圭佑が存在しなければ、その「勝利」は起きなかった、と思います。
まるで欧州か南米のトップ選手かのように、その当たり前の行為を遂行しえる本田がいなければ、である。
デンマーク戦も、その意味では本質的に同様でしょう。
本田は「日本人かパラグアイ人でなければ見ないゲーム内容だった。ボクはそうだ」等々言ったそうです。
まったくの同感で、個人的に加えて言うなら、本田が出ていなければ日本人としても勝利すら期待できない試合だった。
私には、あの「ノックアウト方式の闘い」において、「あの終盤の時間帯」に、「点を奪うことをミッションに途中出場で投入」されて、「ゴール左5メートル付近の『場所』にまで迫り」『パスを選択する』左利きFW登録選手の感覚が全く理解できない。
くだらないミーハー感覚で英雄視する気は全くないし、今の日本の馬鹿マスコミの馬鹿騒ぎは大嫌いだ。
でも、本田圭佑が存在してなければ、二分け一敗でグループ敗退であったろとうは想像する。

末端冷え性2010年7月3日 11:38 AM 

今の日本にとって、ワールドカップで「つなぐサッカー」(恐らくスペイン並のという意味だと受け取ってます)を目指すのは非現実的だったというのはほぼ間違いないのではないでしょうか。瞬時の判断力やワンタッチでのプレーの精度が足りないのは明らかで、これは短期間で上達するものではないでしょう。目標として掲げ、育成段階からそういう指導をするのであれば可能性も見えますが、サッカーに対するハングリーさが薄い、つまりサッカーで成り上がらなくても普通に生きていけるという日本の環境を考えると、そこまで優れた選手がサッカーだけに集まってくれるかは疑問です。話はそれましたが、オランダでさえもブラジル相手には守備力が重要になる(ブラジルが切れるまでは)わけで、本気でワールドカップ優勝を目指すのであれば、まずは堅守の上で少ないチャンスを作り出せる判断力の強化が最重要ではないでしょうか。今回のチームは今の日本の実力しては相応の戦い方だったと思いますし、必要以上に悲しみに打ちひしがれているようには見えませんでした。ただ、アジア枠にいるというのはどうしてもレベルアップの妨げになってしまいますね。南米枠にでも入れてもらえれば最高なんですけどね。

tom2010年7月25日 7:18 PM 

だいたい岡田監督は、口とは裏腹にまさかベスト16入りするとは思っていなかったのではないだろうか。本当にそう思っていたのであれば、W杯に来る前に、全ての可能性のある対戦国チームの分析と全ての可能性に対しての攻撃パターン、守備パターンを持っていたはず、そしてもちろん選手を通して実行していたはずだ。最初から最後まで本当に解りすぎるワンパターンではあり得なかったはずだ。
この問題は日本チームだけに限らないのであるが、本当の意味での監督業というものが解り、実行できる人に監督になってほしいものである。

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