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  • 2010年6月29日

道の先には

 フリーキックの2点で前半のうちに勝負を決めてしまったことを考えれば、「デンマークに勝った」というよりは「ソーレンセンに勝った」と形容したほうが、試合の実情をよく表わしていると言えるのかもしれない。デンマークはチームの特性上、先制されたときのプランに乏しいこともあって、日本は終始試合をコントロール出来た。やはり、出来すぎだ。

 上記のようにこの試合を表現すれば、棚ぼた勝利もいいところのようだが、やはりこの試合は先のカメルーン、オランダとの対戦を見れば、やはり「勝つべくして勝った」といっていいのではないか。ここ3試合の日本代表のサッカーには、そういえるだけの説得力がある。

 確かに、見ていて楽しいサッカーはしていない。ポゼッションで圧倒し、細かい連係プレーから華麗に相手守備陣を破るスペイン代表のようなサッカーは、今大会の日本代表の歩む道の先には無い。

 しかし、今回の代表に限って言えば、スペインをグループリーグで破ったスイスには限りなく近づけるかもしれないと思うのである。
グループリーグのスペイン×スイスを観て、スイスのサッカーを退屈だとは誰も言えないだろう。スペインとは趣を異にするが、彼らのサッカーもまた、魅力に満ちていた。スイスはよく走りよく守っていたが、それと同時にチャンスと見れば勇気をもって攻めに出た。その「勇気」こそ彼らのサッカーの魅力の源泉であろう。

 今大会の日本代表は良く走り、体も張る。おまけに南米では「マリーシア」といわれるようなしたたかさや、勝利に対するこだわりも見せた。スイスの見せたようなサッカーの下地は整っている。
 この3試合だけを観て、そのサッカーの内容から日本代表が成長しているとは私にはとても言えない。しかし、勇気をもって攻めに出る前提として絶対必要な「自信」を手にしつつあることは間違いないだろう。

 決勝トーナメントでは、相手と自分の力を認識した現実的な戦い方をベースとしつつも、世界のサッカーファンにとっての普遍的な魅力を備えたサッカーへと、ひとつ階段を登ってくれることを願ってやまない。

(中野邦明=文)

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