W杯関連記事

[ラウンド16 ウルグアイ×韓国]真っ白なドア

 目の前に真っ白なドアがあったら、あなたは何色に染め上げようとするだろうか。ある人は青、ある人は黄、ある人は黒と、それは人それぞれだろうが、個人の気質が大きく影響してくるのは間違いなさそうだ。
 W杯南アフリカ大会もベスト16が出揃い、いよいよ決勝トーナメントに突入した。この日はA組1位のウルグアイ、B組2位の韓国が激突する。試合は開始早々の9分に左に流れた今大会絶好調のフォルランの折り返しをスアレスが丁寧に合わせ先制ゴールを挙げる。しかし試合はまだ始まったばかりなのである。まだ慌てる必要はない、と言いたいところだが、4年に1度の一発勝負の決勝トーナメント、1点の重みは計り知れない。
 その後徐々に韓国がペースを握り、猛攻を仕掛ける。ウルグアイのディフェンス・ラインがずるずる下がり、そして得たフリーキックからもつれたボールをイ・チョンヨンがヘッドで合わせ同点弾を決める。
 韓国代表の戦いぶりにはどこか惹かれる所がある。ファイティング・スピリット、闘争心を前面に押し出して闘う姿勢には、惹きつけられずにはいられない。目の前に真っ白なドアがあったら、韓国代表の面々は真っ赤に染め上げるだろう。韓国に限らず、そういったチームはどこか目を引く。最後まであきらめない。この辺りは人それぞれだろうが、なぜそのようなチームが目を引くのか、と考えると、やはり見る者の精神を鼓舞するからなのだろう。
 ここで言いたいのは古びた根性主義のことではない。要するに、気持ち、の問題である。ワンプレー、ワンプレーに気持ちを込める。気持ちを込めて戦い、最後まで諦めない。スポーツにおいては最低条件だ。
 しかしそうした姿勢があっても韓国代表は勝ち切ることが出来なかった。後半35分、ウルグアイ代表のディエゴ・ペレスの果敢な突っ込みから得たコーナーキックを、一度は失敗するものの、二度目のコーナーキックからスアレスがファイン・ゴールを韓国のゴールネットに突き刺す。その得点が決勝点となり、ウルグアイが準々決勝へと駒をすすめた。
 ディエゴ・ペレスが果敢に突進してきたときの表情を、どう表現したらいいのだろうか。人知を超えた何かになった瞬間、まさに鬼神になった瞬間、とでも言えばいいだろうか。そしてその後のコーナーキックを蹴るフォルランの表情もまさに鬼だった。勝負を掛けるその刹那、ウルグアイ代表には鬼と化した選手がいた。韓国代表にはいなかった。その違いが両者の明暗を分けたと言えなくもない。
 鬼神となったディエゴ・ペレスは、目の前に真っ白なドアがあったら、何色に染め上げただろうか。

(本田千尋=文)

W杯関連記事, [塾生]本田千尋, 投稿記事



コメント(2)

冬のトリトン2010年6月28日 9:12 AM 

背負っているものの違い、でしょうね。韓国、ウルグアイに限らず、W杯に出てくるチームはどこも国を背負っています。国を背負うというのは、母国に誇りを持つということです。母国に誇りを持てないのに、国のために頑張れるはずはないでしょう。世界中探しても日本ぐらいじゃないですか、「愛国心」という言葉が否定的に語られるのは。日韓戦で、日本が圧倒的に負け越しているのも、このあたりに原因がありそうですね。
ところで、ウルグアイの選手が真っ白なドアを何色に染めるのかって? 決まってるでしょ。母国の国旗の色ですよ。間違っても、対戦相手韓国の赤に染めないことは確実ですがね(笑)

本田千尋2010年6月30日 6:44 PM 

>冬のトリトンさん
 
 コメントありがとうございました。

コメントを投稿


書籍紹介

負けない自分になるための32のリーダーの習慣
澤 穂希 /幻冬舎
目標は「言葉」にすれば、必ず実現する。ブレずに強い心で戦い続けるための習慣。成功を引き寄せる、「有言実行」のメンタル術。

僕は自分が見たことしか信じない
内田 篤人/幻冬舎
彼はその端正な外見だけではない。男らしい一面をもっている。誰よりも優しい心を持っている。そして、だれよりもサッカーに対して真摯だ。

不器用なもんで。
金子 達仁 /扶桑社
『渡り鳥シリーズ』、『仁義なき戦い』など映画に出演し、『昔の名前で出ています』、『熱き心に』といった数々のヒット曲を生んできた小林旭。金子達仁が鮮やかに描き出す一冊。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也/東洋経済新報社
ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。 では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?今日からできる「プロの観戦術」を初公開!

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー
オスカル・P・カノ・モレノ /カンゼン
 “美学”と“効率”が両立されている バルセロナのサッカーの本質に迫る一冊

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部誠/幻冬舎
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、 常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』

タイアップ

オーダーメイドシリコンリストバンド BANDIA
スポーツビジネスオンライン
soccerking