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- 2010年6月20日
岡田武史
「無責任」、「優柔不断」、「小心者」・・・。
巷のサッカーファンが挙げる“岡ちゃん”のイメージは、こんなところであろう。確かにW杯直前になって進退伺を口にしてみたり、決戦の地・南アフリカに入ってからも戦術を変更してみたりと的はずれとは言えない面も多々あるかも知れない。しかし、そんな凡庸で陳腐な人間に、世界の列強に命がけの闘いを挑む日本代表の指揮官が果たして務まるのだろうか?
メディアというフィルターを通して露出される情報を鵜呑みにすること程、危険なことはない。飽くまでも参考程度に留めておかないと本質を見誤ることも少なくない。
岡田武史という男、実は相当な頑固親父である。
能面のごとき無表情からは全く見えてこないが、かなりの激情型で驚く程の負けず嫌いでもある。その上、温厚そうな外見とは裏腹に強烈なリーダーシップの持ち主で、義理人情に厚い親分肌。日本代表監督・岡田武史とはそんな男だ。
日本中が震撼した5月24日の「進退伺事件」も岡田監督が持つ親分肌の性格が引き起こしたエピソードだった、というのが真相なのである。
メガネの親分が言いたかったのは、“壮行試合という名の練習試合に負けたことで何人かの選手がバッシングに遭わないように自分が全ての責任を被ってサンドバッグになる”ということだったのである。自分が選んだ選手、自分が決めた戦術で試合をしたのだから全ての責任は自分にあると言いたかったのだ。
さらに、マスコミが連日連夜報道している“戦術のブレ”も岡田監督の側からすると検討はずれも甚だしいというところであろう。と言うのも、彼には戦術の本質的な部分を変えたつもりは全くないからだ。
例えば、ディフェンス。現役当時、取り替えのきかない頭脳派CBとして日本代表のディフェンスラインを統率した岡田は、守備戦術に関しては並々ならぬ自信を持っているという。その岡田が最後尾の防御を任せた中澤とトゥーリオ。この2人を中心に構築された4バックという守備陣形は、オシムの後を受ける形でサムライブルーを率いて以来、1度もいじっていない。さらにオフェンスに関しても似たようなことが言える。
就任当初は攻撃アイデアに対する自信のなさからか、攻めの部分は大木コーチに任せっ切りだった。その後、何があったかは分からない。何があったかは分からないが、今年に入ると遂に重い腰を上げ、攻撃の面でも直接岡田監督が指揮を執るようになったのだ。
そこで出たのが「本田の得点力に期待」発言で、この方針は現在に至るまでブレていない。
本田をどのポジションに配置するかを含めたフォーメーションの度重なる変更がマスコミの“岡田バッシング”の材料になっている。しかし、サムライブルーの闘将は、この件に関して1度も反論していない、全く興味が無いかのように・・・。
なぜか・・・?
論点がズレているからだ。
岡田監督は、「本田の得点力に期待」と言っている。“本田と心中”の覚悟を決めた以上、大事なのは、“本田がゴールを決める可能性が高いのは、どの位置か”ということなのだ。そもそも岡田は、「本田をCFに置いた1トップを採用する」などとは1度も言っていない。
理想形としてイメージしているのは、トッティが右、左、中央、前後と動き回りゴールを量産した往年のASローマ式“0トップ”ではないだろうか。そう考えると、試合開始時に本田がどの位置でスタートするかなど、些細なことでしかないのだ。
岡田監督にとって絶対に譲れない部分、それは今回の岡田ジャパンで言うと“守りの中澤とトゥーリオ、攻めの本田”である。そう決断した以上そこだけは何があっても絶対に変えない、その他は臨機応変に・・・。
それが岡田武史という男の考え方なのだ。
カメルーン戦後のインタビューで本田圭祐は「もってる」とコメントした。
「もってる」からゴールを奪えたし、勝てた・・・と。
果たして、そうだろうか・・・。
本田は本当に「もってる」のだろうか・・・、違う。
「もってる」のは、岡田武史なのだ。
12年前のフランス大会があったのも、加茂周氏がボロボロの状態で投げ出したチームを急遽率いたのが岡田だったから・・・。
予期せぬ事態が続出し、結果としてカメルーン戦に勝利できたのも・・・。
少し考え過ぎかも知れない。
しかし、「3戦全敗で帰ってくるのが当たり前」と思われていたチームが予想外の大健闘を続けていることは、紛れもない事実だ。6月20日の時点で、岡田ジャパンは1勝1敗、勝ち点3。決勝トーナメント進出の可能性もまだ充分に残されている。結果はどうなるか、まだ、わからない。
ただ、デンマーク戦の結果とともに試合後の頑固親父のコメントが俄然楽しみになってきたと思っているのは、私だけではない、筈だ。
(三浦敬介=文)
コメント(1)
- ジャスミンティー2010年6月20日 10:58 PM
三浦氏の岡田評、なるほどと思う点もあり、読ませていただきました。では、日本対オランダ戦を三浦氏はどうご覧になったのか、後半の中村俊、玉田、岡崎をピッチに起用してまで勝ちを狙った岡田武史監督をどうご覧になりましたか?
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