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岡田監督に求ム

 リヌス・ミケルスは「世界を驚かそう」と言ったのだろうか。
 しかし言ったか言ってないに関らず、ミケルスに率いられた74年のオランダ代表が、トータルフットボールと呼ばれるサッカーで世界中の度胆を抜いたのは間違いない。
 岡田武史は「世界を驚かそう」とはっきり言った。ベスト4を目指すとも言った。
 だが74年とは違い、現在の世界はどんどん小さくなっている。
 当時は南米のチームが欧州のチームの映像をほとんど見ていなかったという。打って変わって、今では代表チームの試合はおろか、やろうと思えば対戦国の下部リーグの試合映像まで手に入れられる時代である。
 何をするにしても丸裸にされてしまうような、情報が飛び交う世の中にあって当然ながら世界を驚かすことは、昔と比べてハードルは高い。
 加えて74年のオランダ代表は、チャンピオンズカップ3連覇を達成したアヤックスの選手を多数抱えており、中心にはヨハン・クライフが君臨していた。対してチャンピオンズリーグベスト8に残った選手は、ただの一人だけというチームである。
 取り巻く環境、抱える選手も比べられないほどの隔たりがある。
 しかし、岡田監督は言った。
 74年のオランダをイメージしていたかどうかは知らないが、彼は言った。
 日本人の多くは笑い、選手ですら疑っていたかもしれない。それでもテレビで語る岡田監督の口調や表情を見ると、決して冗談には聞こえなかった。誰に笑われようが、やり抜く決意が見えた。
 だがW杯本大会を迎える今年に入ってから、チーム状態は一向に上向きになる気配がない。12年ぶりの4連敗を喫したチームを国民も冷めた目で見るようになっている。当の監督もフォーメーションやメンバーをコロコロ入れ替え、迷っているようにしか映らない。
 世界は日本など眼中にないのかもしれないし、多くの日本人も負けるだろうと覚悟し、世界を驚かすなど、完全なる笑い話にしているだろう。
 しかし、不思議なものである。
 途方もなく高く思えたハードルも、今ではそこまで高く見えない。
 チーム状態も悪く、ベスト4という果てもない目標を掲げたこともあってか、今回のW杯で1勝すれば日本は驚くだろう。世界は日本の勝敗に興味がないかもしれないから、1勝くらいじゃ驚かないだろうが、決勝トーナメントに進出すればさすがに驚くだろう。
 74年のオランダがピッチ上で見せたサッカーで世界に衝撃を与えたのに対して、内容など気にせず結果さえ残せば、誰もが驚く状態に今の日本はある。
 吹く風は逆風ばかりに感じられたが、カメルーンとデンマークも日本と足並みを揃えるように、調子を崩している。
 日本が勝つことで喜ぶ人も、嘆く人もそれぞれであろうが、少なくとも岡田監督にとっては良いことしか思いつかない。
 とにかく勝てば、日本も世界も驚く。評価は当然上がる。もしかしたらベスト4に行けなかったと噛みつく人も出てくるかもしれないが、評価されないことはないだろう。
 それにも関らず、自信に満ちた監督の姿はもう見えない。今では岡田監督自身も自分を信用してないように見えている。
 幸か不幸か、ハードルは低くなっている。越えられない高さでもなくなっている。チャンスは広がっている。
 ならば進退伺などしている場合でも、善戦で気を良くしている場合でも、ボコボコにされて下を向いている場合ではない。
 とにかく、自分を信じるべきではないか。

(小谷紘友=文)

W杯関連記事, [塾生]小谷紘友, 投稿記事



コメント(5)

tamon2010年6月8日 10:43 PM 

普通のブログとは違うのでどうコメントをつけて良いのか
今でもはっきり迷っているのですが…。率直に。

読んでいてスカッとしました。
金子氏の記事を初めて読んだときと同じような気が空いた私がいました。
松井秀喜と同じ年の男としては、おそらく年下のあなたの記事にこれだけ感じたことにうれしさと驚きを感じてます。
昨今のメディアの稚拙さに嫌気がさしてタイトルや見出しで記事内容を読まなくなった私にとって久しぶりの出会いです。
これからもあなた自身を信じて取材した人を書き続けてください。

拳組から4年またW杯の季節になったんですね。

ダメ人間2010年6月9日 10:43 AM 

これもタイトルと内容が全然合ってないですね。出だし〜中盤はともかく、後半はグダグダですな。

ぶー2010年6月9日 11:12 AM 

動楽者の主催である金子さんに文章が似てしまっていますね。
読んでいて途中まで金子さんの文章かと思いました。

つる2010年6月9日 4:19 PM 

 昨日の報道ステーションでのニュースを見ました。

 当時会場となる場所は、標高が高く空気密度が少ないと。ですので、ボールがよく飛ぶという問題が浮き上がってきたわけですが、そんな事を今問題にするというのも、ちょっと疑問に思います。

 戦いにおいての鉄則として「敵を知る」「戦局を見極める」「敵状を知る」「地形を把握しておく」というものがあると思いますが、それに則っていなかったのかな?と思うわけです。ベスト4を歌うにしては、運頼みが強すぎではないか?と思うわけです。

 空気密度が薄いという事は、酸素量も変わってくるわけで、全員守備・全員攻撃をモットーにしていても、それが出来無い可能性が出てきます。スタミナが通常よりも早目にロスしてしまいかねない問題が出てきたので、それに対する戦術の練り直しが求められていると思うのですが、それが無ければシステムの崩壊を呼びかねないと。そうなれば、身体能力で劣る日本は、やはり苦しくなってしまうと思います。

「お前達はここで試合しなさい」とランダムな選出からいきなりきめられたのでしたらしょうがないですが、かなり前から「ここで試合をする」という事は分かっていたはずなのですから、それに対する処置を「どこまで施していたのか?」という事が、初戦のカメルーン戦では見えてくると思いますね。

冬のトリトン2010年6月10日 8:56 AM 

たしかに、日本が勝てば世界は驚くでしょうね。しかし自分はそれを望みません。理由は、ここで勝っても将来につながらないからです。
仮に1勝でもしたとしましょう。奇跡が起こって決勝トーナメントに進出したとしましょう。しかしそれは実力ですか? 必然ですか? そうじゃないでしょう。どう見てもラッキーが重なった結果でしかないのは明らかです。現状で結果が出てしまうと問題が先送りにされ、抜本的な改革をする絶好の好機を逃してしまうことになりかねません。さらに将来同じような危機に陥った時に、「大丈夫、南アW杯もうまくいった。今回も神風が吹く」と思ってしまい、壊滅的な結果を招きかねません。ちょうど、元寇のときの神風を信じて太平洋戦争に突入した日本のようにです。
いまやるべきは、ここまで低迷してしまった日本代表をどう立て直していくかの議論でしょう。いまのままではダメなのは明らかです。一番ダメなのは、日本サッカー協会ですね。特に犬飼会長と、強化委員会は最悪です。監督を解任すべき時に保身に走り、なんら手を打たずに迷走させてしまった責任は重大です。ここをそのままで日本代表の再生はありえません。
繰り返しますが、今回のW杯では、あえて結果を残さない方が将来のためになると思います。

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