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  • 2010年6月3日

今、日本代表に必要なもの。

 日本代表はイングランド代表に1-2で敗れた。
 日本はコーナーキックから田中マルクス闘莉王が相手の虚を突く形で先制したが、2つのオウン・ゴールをイングランドに献上して敗れた。PKのシーンもあったことを考えれば1-3で敗れたと考えて差し支えないだろう。
イングランドはコンディションが良くなかった。センターバックのジョン・テリーとリオ・ファーディナンドは岡崎慎司に簡単に振り切られていたし、フランク・ランパードからはいつもの躍動感が失われていた。イングランド代表は監督のファビオ・カペッロを含め全体的に何かに苛立っているようだった。それが日本が思ったよりもパスをつないできたことによるものなのか、それとも自分たちの出来の悪さに対するものなのかはわからない。おそらくその両方だろう。
日本は右サイドバックに今野泰幸を配置し、ディフェンスラインの前に阿部勇樹を配置するというこれまでにない布陣で試合に臨んだ。今野を右のサイドバックに配置したのは
、カメルーンがスロバキアとのテストマッチで左サイドバックのアス・エコトのオーバーラップから再三チャンスを作り出していたことを受けてのことなのだろう。バックラインの前に配置された阿部もある程度機能していた。ときに相手の攻撃の芽を摘み、ときに積極的に攻撃参加した。
 しかし試合に敗れた。
 失点のシーンはいずれもサイドからのクロスによるものだった。1失点目は長友佑都が高い位置でプレスを掛けに行ったため空いたスペースを突かれて生まれた。2失点目は今野泰幸が少し上がった後ろのスペースを突かれてのものだった。PKのシーンも元を辿ると今野泰幸がオーバーラップして空いたスペースを使われてのものだった。
 試合前日の会見で岡田監督は「今年に入っていい試合が出来ていないので、チームが輝いていくようなきっかけになるゲームにしたい」といったコメントをしたらしい。今現在日本が置かれている状況で岡田監督が言う意味での「きっかけ」とは何だろうか。
 「勝利」以外にない。
 クラブレベルでは、連敗を重ねているチームの監督はしばしば解任されるが、それはチームが浮上するための最良のきっかけは「勝利」であるからに他ならない。そしてその「勝利」はどんな形であるかを問わないものだ。
 その意味で、日本は恥も外聞もなく1点を守り切るべきだった。この日のイングランドの出来を考えればそれは不可能なミッションではなかった。両サイドバックの長友と今野が同時に高いポジションを取る必要はどこにもなかった。誤解しないでほしいのだが、イングランドを相手に金星を挙げてほしかっただとか、イングランド相手に勝利すればベスト4への道が見えた、などと言いたいわけではない。現在の日本代表に必要なのは何よりも「勝利」だった、と言いたいだけだ。
 結局この試合元気がいいのはイングランド・サポーターだけだった。轟く雷鳴に対して声援で応えるサポーターを初めて見た。

(本田千尋=文)

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