review 書評
オレもサッカー「海外組」になるんだ!!!
「海外組」という言葉の独り歩きも落ち着きはじめた2006年、
W杯を控えたドイツで無謀な「海外組」生活を初めた日本人がいた。
本書は30歳を越えたサッカーライター、吉崎エイジーニョが自ら挑むドイツ10部リーグへの「海外移籍」挑戦記である。
ドイツのサッカー界はトップのブンデスリーガからアマチュアの10部、11部、12部・・・まで理論上連なった体系でリーグが構成されている。ならば自分も移籍して、「海外組」になってやろうじゃないか。飲み会のネタのような発想から挑戦は始まる。
ドイツで生活し、チームを探す。監督へ疑問を持ち、試合に出られない日々に苦悩し、怪我とも戦う。チームメイトとの関係を築き、自身のアピール方法を模索し、移籍も経験する。・・・そして、活躍がある。
10部とはいえサッカーはサッカー、あくまで本物・本気の挑戦としてのエピソードが続く。下手くそな自分を笑いながら、しかし卑下ではなく、真摯に、ユーモアも忘れずに、がむしゃらに取り組む日々が描かれる。
「バカだなぁ」とニヤケながら、同時に羨ましさを持って読み進めている自分にふと気付く。
多くの人が自分に自信をもてず、現状の生活に迷いながらモヤモヤとした毎日を過ごしている。
今の環境を飛び出したいと心のどこかで思っている。
にもかかわらず、今の生活を投げうてる勇気と覚悟はなくて、そんな自分がまた自分の器を小さくしてしまう。
エイジーニョは小さい。女の子に振られたり、挫折したり、後悔したり。
多くの読者と同じだと思わせてくれる。
だからいつのまにか読者はこの小さな男に自分を投影してしまう。
そして、小さな感動を覚えてしまう。
当時をリアルタイムで伝えていたブログの読者は、本人のモテたいというモチベーションとは裏腹に、20~30代の男性が中心だったようだ。
彼らは勇気をもらった、とコメントを寄せた。
松井大輔へのインタビュー中、松井から
「試合頑張ってください」なんて言われてしまう挑戦である。
本書から、迷う自分に小さな勇気をあげてみてはいかがだろうか。
(石島啓太=文)
PARCO出版
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書籍紹介
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