review 書評

  • 2010年8月18日

世界は日本サッカーをどう報じたか

一章で語られる言葉に大きくうなずいてしまう。
「日本のサッカーは発展途上の途中で、まだ美学と呼べるようなサッカーのスタイルは残念ながら確立されていない。日本のスポーツ報道にも、同じく成長していくことが求められる。
だからまだ今は、外からの視点が必要だ。」

W杯は日本中に熱狂をもたらした。サッカーへの支持率は依然として高く、注目度も前向きなまま強さを失っていない。
今だからこそ、知らなければならない。
世界は日本のサッカーをどのように評価したのだろうか。

W杯期間中、日本では各国への評価報道が大々的になされていた。スペイン、ドイツ、オランダ、アルゼンチン等列強の勝利はもちろん、フランス、イタリア、イングランド等の敗戦の理由が訳知り顔で報じられた。ウルグアイ、アメリカ、ガーナといった今大会で名を挙げたチームのスタイルも多くの日本人が把握した。
今後、私たちはW杯での印象を持って各国を認識する。
逆もまたしかり、なのだ。
W杯での報道が日本の「見られ方」を決める。歴史と経験の上積みがあるサッカー大国からの評価には“今”と“これから”の日本の立ち位置が込められている。

「日本的組織」で勝利を手にしたカメルーン戦、決定力を欠いたオランダ戦、絶賛されたデンマーク戦、アグレッシブさを失ったパラグアイ戦。急速に成長し、だからこそ物足りなく映るチームは端的に表現されていく。本田への称賛、闘莉王への敬意、松井への賛美、大久保への驚嘆、意見の割れる川島への評価。個人への声も各国の指標で語られる。
一つ一つの指摘は自国への思い入れがない分フラットで的確に思えてならない。
是非、本書からその一つ一つをじっくりと堪能していただきたい。

日本ががっちりと守備を固め、特に守りの印象が強くなったカメルーン戦、パラグアイ戦への評価は総じて低い。
なぜか。
日本が「弱者ではない」とみなされているからだと筆者は言う。
「日本はもっと、日本サッカーを信頼していい」
示唆に富む筆者の言葉に勇気を持たずにはいられない。
本書から日本サッカーが目指すべき次のステージを感じてみてはいかがだろうか。

(石島啓太=文)


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