review 書評

  • 2010年7月8日

独破力

ワールドカップで僕達を最もワクワクさせてくれたのは?
松井大輔と答える声は多いのではないだろうか。
世界の包囲網を果敢に破りにかかる日本の8番に私たちは希望をのせていた。
魂のこもった守備とゴールへの仕掛け。
深い切り返しから放たれたクロスが生んだ本田圭佑のゴールを私達は生涯忘れないだろう。

本書は松井大輔の「ワールドカップまで」と「ワールドカップへの想い」を本人自ら綴った一冊だ。

岡田ジャパンが「コンセプト」に縛られていた時期、松井だけは縛られることなく個人での突破や“+α”の必要性を説いていた。本書にはそんな松井の哲学が存分にちりばめられている。一流のサッカー選手に不可欠なインテリジェンスとともに。煮えたぎる感情を冷静に把握し、見つめる。現状の分析は丁寧に行い、挫折は糧にする。そして、想いを言葉にしていく。

中学時代から鹿児島実業でのエピソード、京都での三浦知良や加茂周、朴智星らとのプロとしての生活、オリンピック代表としての経験、フランス移籍後のル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブルでの栄光と挫折、自信と苦悩と葛藤の日々。そして、ドイツW杯落選から日本代表、南アフリカへの想い。
松井大輔のサッカーに対する情熱と歴史が詰まっている。


一つ、エピソードを紹介したい。
高校選手権の決勝で市立船橋に敗れ、鹿児島実業での高校サッカーが終わった日、
泣きじゃくるチームメートの横で、松井大輔は涙を流さなかったという。意地をはり、涙をこらえたのだそうだ。規模こそ違え、「部活」に賭けた経験のある者にとってあの涙をこらえる強さがどれほどのものかは察しがつくだろう。

ここで頭をよぎるのは私達の胸に刻まれたあのシーンだ。
松井は駒野の肩を抱き、前を向いて涙を流していた。
「サッカーで泣いたのは初めて」
パラグアイ戦後の松井のコメントは本書によって一段と重くなる。

文字通り日本代表躍進の“一翼を担った”男の言葉を今こそ堪能したい。
南アフリカでの躍動が、新たな表情とともに蘇る。


独破力
posted with amazlet at 10.07.08
松井 大輔
PHP研究所
売り上げランキング: 34


(石島啓太=文)

review 書評

タグ:



コメントなし

 


書籍紹介

負けない自分になるための32のリーダーの習慣
澤 穂希 /幻冬舎
目標は「言葉」にすれば、必ず実現する。ブレずに強い心で戦い続けるための習慣。成功を引き寄せる、「有言実行」のメンタル術。

僕は自分が見たことしか信じない
内田 篤人/幻冬舎
彼はその端正な外見だけではない。男らしい一面をもっている。誰よりも優しい心を持っている。そして、だれよりもサッカーに対して真摯だ。

不器用なもんで。
金子 達仁 /扶桑社
『渡り鳥シリーズ』、『仁義なき戦い』など映画に出演し、『昔の名前で出ています』、『熱き心に』といった数々のヒット曲を生んできた小林旭。金子達仁が鮮やかに描き出す一冊。

サッカーの見方は1日で変えられる
木崎 伸也/東洋経済新報社
ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。 では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?今日からできる「プロの観戦術」を初公開!

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー
オスカル・P・カノ・モレノ /カンゼン
 “美学”と“効率”が両立されている バルセロナのサッカーの本質に迫る一冊

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部誠/幻冬舎
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、 常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』

タイアップ

オーダーメイドシリコンリストバンド BANDIA
スポーツビジネスオンライン
soccerking